黒皮鉄の家具や雑貨たち


黒皮について

黒皮とは、鋼材を熱間加工するときに生ずる酸化被膜の事です。鋼材が真っ赤に焼けたまま空気中の酸素に晒されると、鋼材表面に黒い酸化鉄が発生します。例えば、鉄のフライパンを熱すると黒くなるあれも同じことです。
それは、鋼材が熱間加工される際に自然に発生するもので、メッキや塗装のように、目的をもって故意に付着させるものではないので、よく見ると色に濃淡やムラがあったり、また、所々剥がれている箇所もあるなど、同じ表情のものはありません。(これが、味わい深くていいのです。)

黒皮鉄の丸棒2

そしてこの黒皮は黒錆とも呼ばれ、赤錆とは違って鋼材の表面にのみ発生し、内部まで侵してしまうような事はありません。また、鋼材の表面を赤錆から守る皮膜としても機能します。しかし、その皮膜には極微小のピンホールがあるので、完全な防錆を目的として使用されることはありません。ですから完全に赤錆を防止したい場合は、上からそのイメージに近いの黒色などの塗装をする必要があります。
しかし塗装をしてしまえば、塗装した部分がすべて均一な色になってしまい、せっかくの表情や素材感を消してしまいます。
なので塗装はしたくない、だけど防錆はしたい。ということで、of nou(オブノウ)の、黒皮鉄で作られた家具や雑貨などのアイアン製品は、塗装ほど完全ではないけれど、室内使用の場合だとある程度の防錆をしてくれる蜜蝋やボイル油でコーティングしてあります。

鉄の素材感を残したいからそのまま

けっして、塗装が悪いという訳ではありません。むしろ、塗装の方が防錆効果は優れています。しかし、焼付け塗装であろうと自然乾燥塗装であろうと塗料は合成樹脂です。これではナチュラルな雰囲気は出ません。また、黒皮鉄のままの物と、合成樹脂塗料で着色した物を二つ並べると、あきらかに物のデザインテーマや、ジャンルが異なってしまうことが判ります。
じゃあ、艶消しの透明塗料やニスでいこう、ということにもなりますが、いくら塗料やニスが透明であっても、そこには合成樹脂の膜が張られる訳ですから、明らかに塗りました感のようなチープな違和感は出ます。
ましてや透明ということは、ごく一般的な透明塗料やニスの場合では、完全な防錆剤を入れることは結構難しいので、黒色などの色付きの塗料よりも防錆効果は劣ってしまいます。
また、いくら焼付け塗装であろうとも万全ではありません、いずれ剥げる恐れもありますし、また、環境によってはいずれ錆びてくる恐れもあります。その時になって塗装をし直すというのも大変な出来事です。

黒皮鉄のアングル2

しかし、蜜蝋やボイル油でコーティング仕上げがされている場合は、ちょとした薄い錆が出てきたら、市販の蜜蝋クリームやボイル油を塗って乾燥させるだけなので、メンテナンスも簡単です。さらに、錆びる前にメンテナンスをしておけばより錆が出難くもなります。また、多少錆がついた方が味わい深いし、変化していく過程が楽しめるという見方もあります。

であるのなら、やっぱり塗装はせずに黒皮鉄のままでいいのではないか、ということになりました。もちろん蜜蝋やボイル油でしっかりコーティングはしてありますので、濡れたまま放置したり、湿気たっぷりの場所に放置しない限りはすぐに錆ることはありません。
しかし、強くそして頻繁に拭き過ぎるとコーティングは取れ易くなります。その場合、好みに合わせてメンテナンスの頻度を調整していけば自分好みに育っていきます。

『〇〇風』の家具や雑貨でも全然OKな方は、塗装仕上げでも全然大丈夫だと思いますし、むしろその方が良いと思います。しかし、本物の素朴さを求めるのなら、雰囲気を求めるのなら、味わい深さを求めるのなら、そして、素材感を残したいのなら、やっぱり黒皮のままの方が即しています。





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